パオラ・ミライ（PAOLA MIRAI）

コンテンポラリー・ジュエリーのデザイナーとして、ヨーロッパで高い評価を得ているパオラ・ミライは、ミラノを拠点に活動しています。彼女は５年間の実験と研究の果てに、超軽量の新素材「オーロ・トラスパレンテ（透明の黄金）」を生み出しました。この空気のように軽く、水のように透き通った革命的な素材を創り出した彼女は、まさに現代の錬金術師といえるでしょう。

すべての始まりは、オーストラリアの中心、ルーマニアの彫刻家ブランクーシを思わせるエアーズロックの空間美に衝撃を受けた時でした。2004年、大西洋に面した光まばゆい部屋の窓から彼女の探求は始動し、今もなお、ミラノのナヴィーリ（運河）地区にある庭園の工房で胎動しています。彼女が探し求める理想の形は、神話、古代の表象、そして西洋と東洋の交点で生じる調和の中で垣間見える現代の美にほかなりません。

「未来へ、発展へ、我々を押し進めるハイテク社会の到来は、人々の生活を180度変え、世界をつなげ合わせました。物質の時代を離れ、非物質と透明性の新時代に突入したのです。」

 

彼女がstu-artに出品する”Cirkuita Japan Collection”は、破棄されたコンピューターやハイテク機器の基板やパーツを新素材「オーロ・トラスパレンテ（透明の黄金）」に封じ込め、コンテンポラリー・ジュエリーとして開花させました。最初は人目に触れられず、破棄される運命にあったハイテク部品が、「オーロ・トランスパレンテ」の中では、輝きを放つ珠玉へと変貌し、機能的でシンボリックな美を新たに創り出しています。そして同時に、われわれが持っているエコロジー精神を呼び覚ましてくれます。

「荒々しい夕暮れから、柔らかい日の出が生まれ、電子の記憶に打ち震える。電子機器の居場所から取り除かれた金属のシナプスたちは、ハイテク時代に息づくイコンとして、光の新素材を体現する。」

「人間の喜びのために、美しいものを生み出す」コスタンティン・ブランクーシの言葉です。